小学6年から髪の毛を抜き始め、「抜毛(ばつもう)症」と診断された14歳の孫娘が心配――。そんなお便りが、読者からの医療相談のコーナー「どうしました」に寄せられました。
中学受験が終われば落ち着くと思っていたのに、志望校に入学した現在は、むしろ悪化しているそうです。多いときには1日60~120本、1日2~3回の発作があり、抜かない日はない、といいます。どう考えたらよいのか、東京医科大学講師(皮膚科学)の入澤亮吉さんに聞きました。
――どんな病気ですか?
ストレスなどがきっかけとなり、髪の毛を抜くのが止まらなくなります。
人の目がある学校や職場ではなく、家のなかに1人でいるときに抜いてしまう、という人が多いです。
「くせなんでしょ?」と軽くみられがちですが、くせだけでは解決できない。不合理な行為とわかっているのにやめられず、苦しんでいる患者さんは多くいます。このような状態を精神医学では、強迫性障害と呼びます。
一方、子どもの場合、髪の毛を抜くのが楽しいという感覚の人も多く、「やめたい」という気持ちがないことも。思春期になって人目が気になり始めて、改善に向かっていくケースが多いです。
髪の毛を抜き続けていると、毛根が障害を受けて軟毛化し、永続的に髪の毛が伸びなくなってしまうこともあります。私は初診の際に、そのことを患者さんにきちんと説明するようにしています。
――相談者のお孫さんは、小学6年から髪の毛を抜き始めたそうです。
小学校の中~高学年ぐらいに…